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名古屋でインプラント

インプラント治療に必要な骨の確保

診療案内
Diagnosis and treatment guide

骨の確保の必要性

インプラント治療は顎の骨に穴を開け、インプラントを埋入します。
インプラントを埋入するための骨が十分に存在しないと、しっかりと顎骨に固定する事が出来ません。

骨量は、インプラント体埋入部の歯槽骨の高径で10mm以上、幅径は6〜8mm以上があるのが理想です。また、インプラント体先端と下顎管との間にはドリルによる下顎管損傷を避けるため十分な安全域を設ける必要があります。
  ※インプラント上部構造に機能圧が加わるとインプラント体周囲には幅1.0 〜 1.3 mm 程度の
   漏斗状の骨吸収を生じます。したがって、この骨吸収を考慮した骨幅が必要です。
   例えば直径4 mm のインプラント体を埋入するためには6 mm 以上の骨幅が必要です。
  ※審美領域の骨のボリュームを温存するのに RMT があります。
   ルートメンブレンテクニック RMT により、根の一部を残すことにより、歯周靭帯の維持と
   それに関連する血管の維持ができ、頬側の骨の吸収やその上にある軟組織の収縮を防ぐことが
   出来ます。
日常、インプラント治療を希望して来院される方の中には、顎骨量が減少している場合が多く、
そのままではインプラント治療を適応できない事もあります。もし、垂直的に骨量が不足する場合、インプラント体を隣接歯より深く埋入しすぎると、インプラント体周囲に深いポケットが形成されてしまいます。また、骨粗鬆症は骨強度が低下するため、インプラント治療の局所的リスクファクターと言われ、注意が必要です。
  ※インプラントの長期的な安定のためにはインプラント頬側に1.5 〜2 mm の硬組織、2 mm 以上の
   軟組織があることが望ましいとされています。埋入を達成できたとしても頰舌的な陥凹は審美性の
   回復を困難にします。このような場合、硬・軟組織移植を検討する必要があります。
そのような場合には、様々な種類の骨増大術を応用して吸収した顎骨を増大させる必要があります。
骨移植は、インプラント体の埋入に必要な垂直的あるいは水平的骨量が不足している場合に行います。
自家骨の採取部位は口腔内では下顎骨のオトガイ部、下顎枝、上顎結節、前鼻棘、インプラント体埋入部があり、口腔外では腸骨や脛骨などです。オトガイ部や下顎枝では、ブロックでも細片状でも良質な皮質骨が得られますが、神経麻痺などには注意が必要です。
治療方法は以下の内容になります。

ソケットリフト法

ソケットリフト法とは、上顎洞というあごの中の空洞を押し上げ、インプラントを埋入する方法です。主に上の奥歯の部位が対象となります。

上顎洞底までの骨の高さが5mm以上あれば、ソケットリフト法でインプラント埋入が可能です。

※写真は、CT画像により分析を行っている像です。緑色の部分が仮想の骨増生部分です。
ソケットリフト法
症例1>>ソケットリフト法
●1:
この部分は、骨の高さが足りないため、
このままでのインプラント埋入はできません。
ソケットリフト法によりインプラント埋入をします。

●2:
歯根が破折しているため、この部分にもインプラントを埋入します。

●3:
下のあごには2本のインプラントを埋入しました。
すべての歯が欠けている場合
上顎(うわあご)には、ソケットリフト法を用いて2本のインプラントが埋入できました。
3本の歯が欠損ですが、両サイドに2本のインプラントを埋めてそれを連結するというブリッジタイプで修復します。インプラント間に距離があるため、血行が良くなるという点で優れています。

下顎(したあご)には、インプラントに冠をかぶせました。
すべての歯が欠けている場合

GBR法

GBR(骨誘導再生)法 Guided Bone Regeneration technique とは、特殊なメンブレンという人工膜を使用することでアゴの骨の再生を誘導する方法です。
歯が抜けてしまったり、歯周病などが原因で歯槽骨を失ってしまうと、インプラントを埋めるために必要な骨の量が足りなくなります。インプラントを埋める際、そのような骨の高さや幅が足りない場合に適応されます。
GBR法の適応症
1. 歯茎の膿んでいる歯を長期保持して周囲の骨を溶かしてしまった
2. 歯周病で周囲の骨を大きく失った
3. 元々骨が薄く、開窓状骨欠損部、骨裂開部が生じる恐れがある場合
症例2>>GBR法
  • 【 術前 】

    このままでは骨がないためインプラントが埋入できない。
    GBR法の術前
  • 【 術中 】

    チタンメッシュ膜を用いて骨を造成中。

    骨造成を行った後、減張切開を加え骨膜の伸展を行い、縫合をします。インプラント周囲への血流を阻害しないように、慎重に行います。
    GBR法の術中
  • 【 インプラント埋入後 】

    約8ヶ月後、骨が出来てインプラントを2本埋入できた。
    インプラント埋入後
GBR骨誘導再生)法のメンブレンの種類は、
 チタンメッシュ、Cytoplast(非吸収性フッ素樹脂(PTFE)メンブレン)、吸収性メンブレンなどです。
 ・チタンメッシュは、インプラント埋入時にカバースクリューで直接止めて使うタイプ、
  あるいは、テンティングスクリューで使うタイプのものもあります。
 ・シトプラストCYTOPLASTは、d-PTFE オープンバリア非吸収性メンブレンで、歯槽骨欠損部の
  補填後、口腔に対して保護膜の役割を果たし欠損部への粘膜上皮内殖を防ぎます。
 ・吸収性メンブレンは、OSSIX( 吸収期間は約16週間 )、バイオガイド、
  サイトランス エラシールド( 約6か月の吸収期間 )等です。
 ・メンブレンの内部には、細かく砕いた自家骨もしくは骨補填材を置きます。
インプラント治療で用いる移植材の骨
  自家骨以外に、異種骨ではBio-Oss 、同種骨(他家骨)ではDFDBAやFDBA (未承認)、
  合成代用骨ではハイドロキシアパタイト(HA)、リン酸三カルシウム(β─TCP)、
  炭酸アパタイト(薬事承認済み、1 〜 2 年で破骨細胞により吸収されます)などがあります。
  自家骨の採取部位は、下顎骨のオトガイ部、下顎枝、上顎結節、前鼻棘およびインプラント体
  埋入部などです。
  「テルプラグ」は、テルモ社製で、若い牛の真皮からできたアテロコラーゲンです。抜歯時に
  骨や歯肉の喪失を防ぐことができます。
歯肉の移植
  粘膜の厚みが薄い(< 2 mm)場合には、インプラント体周囲に骨吸収が生じやすいので
  歯肉の移植も必要となります。

サイナスリフト法(上顎洞挙上術 Sinus Lift)

症例3>>サイナスリフト法
サイナスリフト法の術前
→
サイナスリフト法後にインプラントを埋入
サイナスリフトとは、上顎(うわあご)奥歯の矢印部分の顎(あご)の中の空洞に骨を補填してインプラントを埋入する方法です。

上顎の歯槽骨の上部(頬骨の奥)には、上顎洞(サイナス)という大きな空洞があり、鼻腔へとつながっています。上顎洞は粘膜肥厚や粘液の貯留がなく、自然孔が閉塞していない状態が正常CT 像です。

この空洞は上の奥歯を失ってしまうと、下方に拡大していく傾向があり、同時に、失った
歯の周囲の歯槽骨が吸収されていくので、歯槽骨の厚みが加速的に減少していきます。
そこで、空隙に自家骨や骨補填剤を移植し上顎洞底部の位置を上げてインプラントを埋入できるだけの骨の厚みを確保します。骨を広範囲に造成できる治療法ですが、身体・経済的に負担をかけることになります。
上顎洞底挙上術の禁忌症は、上顎洞内に炎症や囊胞などの病変を認める場合、自然孔が閉鎖している場合、ヘビースモーカーなどです。

その他の方法として、スプリットクレスト(歯槽骨増大法)があります。
骨の高さはあるが幅が不足している場合に行います。

▼ CTによる分析 【SimPlant:インプラント埋入シュミレーションソフト】

  • インプラント埋入シュミレーションソフト
  • インプラント埋入シュミレーションソフト
  • インプラント埋入シュミレーションソフト
  • インプラント埋入シュミレーションソフト
左上写真のピンク色の部分に骨を補填します。
仮想のインプラントはその上部にある中空の目印を基に植立します。
症例4
症例4 インプラント埋入後
インプラントが埋めてあります。
→
症例4 インプラント上部構造の咬合面観
インプラントの上部構造物 (オールセラミックス冠)をかぶせたところ
→
症例4 インプラント上部構造の側面観
側面像です。
症例5
症例5 上部構造の装着前
インプラントの上部補綴物(かぶせ物)装着前
→
症例5 上部構造の装着後
インプラント上部補綴物(ハイブリット冠)装着後
症例6
症例6 術前
インプラントが埋めてあります。
→
症例6 インプラントを埋入
インプラントを2本埋入しました。
→
症例6 上部構造を装着
インプラント上部に冠をかぶせました。

骨質について

インプラントが骨と結合して、オッセオインテグレーションを達成するためには、「骨質」も重要な要素の一つです。
骨質診断は、アメリカのCarl Misch先生による、CT値を利用した骨質分類が使われています。
このCT値は、ハンスフィールド値とも言われ、骨の密度(硬さ)を示します。