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名古屋でインプラント

インプラント周囲の骨質

診療案内
Diagnosis and treatment guide

インプラントの周囲の骨質が大事

インプラント治療はアゴの中にインプラントを埋めるので、骨が大事になってきます。
骨量のほかに、骨密度、骨質といった要素がオッセオインテグレーションに大きくかかわってきます。

LekholmとZarbの骨質分類

骨質の診断においては、古くから。LekholmとZarbの分類が有名です。
LekholmとZarbのインプラント治療における骨質の分類
LekholmとZarbのインプラント治療における骨質の分類です。
皮質骨主体のType1から、海綿骨主体のType4の4つに分類されています。
Type1の硬い骨質ではドリリング時の発熱による火傷を起こしやすく、十分な注水(生理食塩液)による冷却が必要です。過大な埋入トルクは圧迫壊死による骨吸収を起こす可能性があります。Type4は、きわめて薄い皮質骨と、きわめて粗な海綿骨からなる不良な骨質です。このような軟らかい骨質では確実な初期固定を得にくく、オッセオインテグレーションの獲得のリスクとなります。この場合、インプラント体埋入後の治癒期間を延長することにより、良好な骨質と同等の結果を得られることが示唆されています。
タイプⅡおよびタイプⅢが理想的な骨質と言われています。
しかし、この分類は、術者の指の感覚による分類なのです。
そこで、アメリカのCarl Misch先生は客観的な骨質診断として、CT値を利用した骨質分類を考えました。

Carl Mischの骨質診断

アメリカのCarl Misch先生は客観的な骨質診断として、CT値を利用した骨質分類を考えました。骨のミネラル値がCT 値(Hounsfield 単位)を反映することから骨密度を5 段階に評価にしました。 その模式図は頻度に応じた顎骨形状を表していますが、 実際の臨床ではピクセル、ボクセルを示すCT値に色付けをすることで解りやすく判断できます。
Carl Mischの骨質診断
十河は赤から青の色分けを考え、、 最も硬い骨のD1を赤色、続く骨質D2を黄色、D3を黄緑色、D4を水色、そして骨ではないD5を青で示しました。
CT 値が850HU 以上のものは埋入窩形成時に摩擦熱による火傷を生じやすくなります。350HU 以下であると軟らかい骨質のため一次固定が得られにくくなります。
骨質による色分け
図は、また別の方法で色分けして分かりやすく骨質を表現しています。

骨量、骨密度、骨質

骨量とは、顎骨の外形などを総合的に評価する時に用いられます。骨全体に含まれるミネラル成分と器質成分とを足した量です。
骨密度とは、単位体積当たりのミネラル量のことです。骨質とともに骨強度に関与し、骨強度の70%を表すと言われます。
骨質とは、骨密度とともに骨の強度に関与している因子で、骨梁の微細構造、石灰化度、コラーゲン線維などの構成成分の割合や質により規定される骨の性質です。

骨の密度を減少させるような病変、根尖病変や歯周病の炎症層などを抜歯時には徹底的に取り除いておく必要があります。そのような病変が残存すると健全な骨組織が形成されません。

破折した歯根を保存して周囲骨が炎症性骨硬化した場合や、パラファンクションによる持続的刺激による硬化した骨組織は、血管の分布が少なく、オッセオインテグレーション獲得に必要な骨形成細胞が十分遊走されない場合があるので注意が必要です。

骨量について
顎堤の吸収状態により上部構造の歯冠長が長くなり、隣接歯との歯頸線のふぞろいが生じることがあります。顎堤の吸収が著しい前歯部欠損では、審美的に問題を生じるリスクがあります。

ハンスフィールド値(HU)(CT値)によるMischの分類 1993

CT値は、ハンスフィールド値とも言われ、骨の密度(硬さ)を示します。

X線吸収値を 空気を-1000 HU、水を0 HU、固い骨を+1000 HU と規定しています。
CT装置の発明者Godfrey Newbold Hounsfield(1919〜2004年)にちなんで、CT値(CT number)がつけられました。
ボクセル(被写体(生体組織)のなかの小さな単位容積)は画素ともいい、CT値は画素の値を表します。

軟らかい骨質(CT 値が350HU 以下)では初期固定の獲得が困難で、オッセオインテグレーションの獲得が困難となる場合があります。この場合、インプラント体埋入後の治癒期間を延長することにより、良好な骨質と同等の結果を得られると言われています。骨質改善のためにコンデンス(骨緻密化)する場合もありますが、やり過ぎも血行が損なわれるので治りを悪くします。
逆に、硬過ぎる場合(CT 値が850HU 以上)には、埋入窩形成時に切削摩擦による火傷や圧迫壊死による骨吸収を起こしやすくなります。通常以上にドリルの冷却に注意を払い、注水量や注水方法を工夫して手術に臨みます。

ハンスフィールド値(HU)(CT値)によるMischの分類

D1からD4に分類されます。
D1:>1250HU  D2:850〜1250HU  D3:350〜850HU  D4:<150HU
インプラント周囲の骨質は硬い
インプラントの周囲は白く(緑矢印 1000HU程度の硬い骨)皮質骨が厚い。
D1は、大部分が皮質骨である、ドリル使用時の感触はカシ材またはカエデ材のような硬さ、
    10段階評価で9〜10の骨強度、主に下顎前歯部にみられる。
D2は、皮質骨と骨梁の粗な海綿骨が歯槽頂に厚い層を形成している、10段階評価で7〜8の骨強度、
    下顎骨全体および上顎前歯部にみられる。
D3は、歯槽頂部の皮質骨層が薄く、海綿骨骨梁が細い、ドリル使用時の感触はバルサ材 、
    10段階評価で3〜4の骨強度(D2の50%程度)、主に下顎臼歯部または上顎にみられる。
D4は、大部分が骨梁の細い海綿骨である、ドリル使用時の感触は発砲スチロール、
    10段階評価で1〜2の骨強度、主に上顎臼歯部にみられる。
インプラント周囲の骨質は疎である
インプラン周囲の骨は黒っぽく疎(緑矢印 100HU以下)なので、骨の緻密化等の処置が必要となる。
最も硬い骨のD1を赤色、D2を黄色、D3を黄緑色、D4を水色、そして骨ではないD5を青で示すと、
視覚的にわかり易くなります。
医科用ではこのハンスフィールド値を知ることができますが、歯科用CTでは仮想の値で推測します。
■ 現在の骨質の考え方
骨結合の得られたインプラントに咬合の荷重を加えることで、インプラントネック部周囲組織は、 オッセオインテグレーションの亢進とともに骨量と骨密度が増大され、骨質が大きく変化します。
このことは、荷重に対して適応変化をしてくることを示唆します。
■ 骨質に関する研究
長崎大学大学の澤瀬・黒嶋先先らの報告によると、
「インプラント周囲骨の生体アパタイトの軸配向性は、加重を加えることにより、インプラント長軸方向の優先配向を示した。」とあります。
このことは、インプラント周囲の骨質に加重に抵抗できるような変化をもたらしたと言える。