■ 親知らずとは ■
親知らずとは、智歯(ちし)とも言い、一番奥にある大臼歯で、第三大臼歯のことです。
前(最前方の中切歯)から数えて8番目の歯です。
親知らずは、アゴに生えるスペースが無いために、斜めや横向きになっている傾向があります。
特に下の歯でその傾向は強く、普通の歯と比較して困難な抜歯となります。
抜歯を勧められても、どうしようか悩んでいる方が多く見受けられます。
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1.歯茎が腫れる。
奥の方で真っすぐ生えていなかったり、歯肉が歯にかぶっていたりするため、
歯ブラシが思うように当たらない。そのため、周囲の歯茎に炎症が起きやすく、
腫れが繰り返して起こり易い。
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2.虫歯になり易い。
プラークが残り易く、停滞しやすいため、虫歯になり易く、しかも器具の挿入が難しいために
治療は困難となる。食べかすが歯の間に溜まり、前の歯も虫歯になってしまう場合がある。
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3.アゴや喉の痛みが出る。
歯茎の炎症が広がれば、お口の開口に使う筋肉まで炎症が波及するため、開口障害が起こる。
内側に炎症が広がると喉まで痛くなり、つばが飲みづらいといった症状が出る。
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4.歯並びや咬み合わせに影響が出る。
歯が生えるスペースがないため、前方に歯を押し出して、前歯まで歯並びを乱す。
咬み合わせも乱れ、開咬などの原因ともなる。
■ 最初に親知らずの状態を診査診断します。
一連の口腔内診査、既往歴等の診査の後、レントゲン診査をします。
親知らずの前の歯との間は、歯ブラシが届かず、歯磨きは十分できない状態でした。
レントゲンには、虫歯の黒い影が見えます。
真横になり、前の歯の方向を向いています。
残念ながら、隣の前の歯にも虫歯の黒い影が映っています。
このまま放置するわけにはいかないので、充分なご相談の後、
抜歯の決断をされました。
歯科用CTが必要な理由は、安全に、かつ予想通りに抜歯をする為です。
ピンク色の部分は、下歯槽神経管(下アゴに走行する神経・血管の通る管)です。
親知らずの根元にあり、十分な注意が必要です。
また、「上から」見た像では、歯根は円錐形をしていますが、《横から》見た像では、上部の根管は根尖部付近で屈曲しているので注意が必要です。
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抜歯の手順
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1.
麻酔・切開して歯の一部を露出します。
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2.
歯の頭の歯冠部を切断して取り出します。
「断面」の像では、神経管との距離があるので、歯冠部の切断に支障はないと思われます。
虫歯の部分を含めて歯の頭の部分のを取り出します。
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3.
歯根部を取り出します。
「横から」見た像を参考に屈曲した根尖部に注意をして歯根を取り出します。
必要なら、歯根周囲の骨の除去や、歯根をさらに切断してから取り出します。
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4.
抜歯周辺の病変があれば取り除きます。
特に炎症を繰り返した場合などには病変が見られます。
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5.
縫合します。