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自覚症状がないうちに進行する疾病
歯周病は、プラーク(歯垢)などが原因で発症します。
そして歯周組織(歯肉・歯根膜・セメント質・歯槽骨などの歯を支えている土台)が破壊されて進行するまでほとんど自覚症状がなく、気がつかないことが多いです。
日本人の成人のうち、5人に4人(約80%)以上が歯周病にかかっているといわれ、
歯周病は歯を失う最も大きな原因となっています。
何故こんなに多くの方が歯周病にかかってしまうのか
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歯周病の検査
歯周病検査は、歯周病の進行程度や原因を把握し「正しい診断」と「適切な治療計画」を立てるための情報を得るために行います。
歯周病の有無、進行状況、リスクファクター(歯周病の進行を促す因子)、予後の判定などを調べます。
問診、視診・触診・打診・エックス線診査、歯垢の染め出しPCR(歯の清掃状態、O'Leary のプラークコントロールレコード)、歯周ポケットの測定( 精密検査時には 1歯4点以上の計測を基本とし、必要に応じて測定点を増加させます )、歯肉の出血の有無(プロービング時の出血BOPの有無)、歯肉縁下歯石の付着状態、動揺度検査(Miller の歯の動揺度 0 度〜3 度の分類)、口腔内写真などで歯やその周りの状態を調べます。口腔内のカラー写真撮影は、文章や数値で表現するのが難しい口腔内の状態(とくに歯肉や咬合の状態など)を正確に記録することが可能です。その他、プラークの細菌検査(歯肉縁下プラーク)、歯肉退縮 (Millerの歯肉退縮の分類)、歯肉溝(歯周ポケット)滲出液の検査、唾液の検査などがあります。
※ プローブ挿入後の出血量 BOP と歯周病の活動性は比例します。
咬合に関しては、不正咬合、早期接触や咬頭干渉などによる外傷性咬合を調べます。
奥歯の根の分岐部(根分岐部病変はレントゲンやファーケーションプローブ等で検査)や、歯肉の幅や量、咬み合わせ等についても丹念に調べます。 生活習慣病と言われる歯周病では、食生活や睡眠時間、喫煙の有無、持病(糖尿病、骨粗鬆症など)についても重要な調査項目となります。
歯周ポケット(歯と歯肉の境目にある溝)の深さを測定するプローブです。その時のポケットからの出血の有無も見ます。先端には目盛りが付いています。
治療方法
プラークコントロール、歯石除去(スケーリング&ルートプレーニング)、詰め物・被せものによる固定治療、薬(抗生物質)による歯周病治療、歯ぎしり治療、噛み合わせの改善、
生活習慣・食生活の改善などがあります。
※ スケーリング ルートプレーニングSRPとは、scaling root planing の略号で、
歯根と歯肉の間の溝(歯周ポケット)に入り込んだ歯石(縁下歯石)や炎症を 起こした組織(不良肉芽)を専用の器具(ハンドスケーラー、超音波など)により掻きだす治療法です。その後、歯根面を凹凸なく滑沢(ルートプレーニング)に仕上げます。こうすることで再び汚れを付きにくくします。
手で根面の歯石を取り除くのに用いる「グレーシーキュレット」というハンドスケーラーです。
比較的軽い歯周病であれば、歯や歯の周りを清潔に保つ歯周基本治療を続けることで治すことができます。しかし、炎症が歯肉の奥まで進行し、歯周組織の破壊がひどい場合には、
歯周組織を回復させるための歯周外科手術が必要となります。
治療の流れ
歯周基本治療(STEP.1〜STEP.3)
- STEP.1:検査(基本・精密検査、レントゲン診査など)
- まず、症状に対する応急処置をします。治療計画を立て、治療方針をご相談します。
- STEP.2:プラークコントロール
- プラークコントロールの基本は、あなたの毎日のハミガキです。
あなたに合ったブラッシング方法を指導します。 - STEP.3:歯周基本治療(原因除去療法)
- プラークコントロール(患者様:歯肉縁上+術者:歯肉縁下)により炎症を緩和して、
歯石の除去・かみ合わせの改善などを行うことにより、歯周病の原因を取り除きます。
すべての歯周病の方に行われるものです。
- ※歯周基本治療(STEP.1〜STEP.3)を経てSTEP.4の再検査の結果、
完治が困難だった場合は、次のSTEP.5に進みます。 - STEP.4:再検査
- 検査結果を基に、再度治療計画を立てます。基本治療の効果、治療の成否、治療に対する反応などを再評価します。
重症で症状が改善しない場合は歯周外科手術が必要です。
病状が進行する危険性の高い部位、診断が難しい部位については必要に応じて歯周精密検査を実施ます。
基本治療で完治した場合は、メインテナンスに入ります。 - STEP.5:歯周外科手術(歯周病の中等度〜重症の時、必要に応じて)
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歯周病の原因を取り除いても治らないほど重症な場合、歯周外科手術が必要な場合があります。
- ◆フラップ手術(モディファイドウイッドマン法・アピカリーポジションド法)
- 歯肉剥離掻爬(しにくはくりそうは)手術の事です。
歯肉をめくり( 骨膜を含んだ全層弁、または骨膜を骨面に残した部分層弁で剥離 )、歯根の奥深くについた歯石を除去、不良な病巣の肉を除去して再び縫合して戻し、歯周ポケットを取り除く手術です。 - アピカリーポジションド フラップ法 (歯肉弁根尖側移動術) は切除療法で骨整形術と併用して行われることが多いです。浅い〜中等度の歯周ポケットのある水平的骨欠損に対して行われます。歯肉縁下カリエスがあり歯冠延長したい場合にも行われます。
- ◆歯周組織再生療法(EMD法・GTR法・リグロスなど)
- 歯周再生療法、骨移植法とは、中等度以上の歯周病で失われた歯周組織を元に戻す治療です。
すなわち歯周病で破壊された歯の周りのセメント質、歯根膜、歯槽骨などを再生する治療です。
そして歯の周りの歯肉は蘇り、プラークコントロールしやすい歯肉になります。
エムドゲイン(EMD法)は、スウェーデンで開発された歯周組織再生用材料です。
GTR法は、人工の膜を用いて骨が出来るまで歯肉の侵入を防ぐ方法です。
リグロスは、遺伝子組み換えのヒトbFGF(塩基性線維芽細胞成長因子)を有効成分とする世界初の歯周組織再生医薬品です。
- ◆歯肉歯槽粘膜形成手術(遊離歯肉移植術・結合組織移植手術・小帯切除など)
- 抜歯などにより陥没した歯肉にボリュームを与えたり、露出した歯根面を歯肉で覆うことが出来ます。審美性を回復する、清掃性を良くすることで歯周病の進行を抑制するなどの目的があります。
- STEP.6:メインテナンス
- 歯周病は再発しやすい病気です。お口の健康を維持するためには、定期的なクリーニングと健診が必要です。特に中等度以上の歯周炎の完全な 治癒は難しく、積極的な治療終了後も長期間のSPT あるいは メインテナンスを行うことが重要です。
重度の歯周病治療に歯周組織再生療法
歯周病が進行すると、歯を支える土台の骨(歯槽骨)が溶けてなくなり、
歯周組織が破壊され歯がぐらぐらしてきます。
重度の歯周病では、歯茎が痩せるだけでなく、歯を支える支持組織が減少するために、歯並びが乱れてきます。
そして一般的な歯周治療では、ポケットを除去し歯周病の進行を阻止するのが精一杯で、一度失なった歯周組織を取り戻すことはできません。
今回、以下のような治療を行うことで、一度失った歯周組織を再生することが期待でき、歯周病の歯を救うことが出来るようになりました。
コンドウ歯科では、少しでも自身の歯を救うための最新治療を行っています。
歯周組織再生療法 ▶ 詳しくはこちら
歯周組織再生剤 リグロス ▶ 詳しくはこちら
EMD法(エムドゲインを用いた再生治療) 保険適応外
歯の生成時に働くたんぱく質の抽出薬であるエムドゲイン・ゲルを手術時に歯の根に塗布することにより、一度失った歯周組織の再生を期待出来ます。
初期状態: 顎の骨がなくなり歯の根が露出した状態です。
治 療: 清掃した歯根面にエムドゲインを塗布する。傷口を緊密に縫い合わせる。
術 後: 歯みがき法の指導を受ける。 メインテナンスへ移行する。
〈生化学工業株式会社提供〉
- ▼ 歯周ポケットの測定
- ▼ 歯肉の切開
- ▼ 歯肉の剥離
- ▼ 歯根表面の清掃
- ▼ エムドゲイン・ゲルの塗布
- ▼ 縫合
GTR法(メンブレンを用いた再生治療) Guided Tissue Regeneration
フラップ手術と同様の術式後、メンブレン(膜)(非吸収性や吸収性)を挿入することにより上皮細胞の根尖側方向への移動を防止し、歯周病の炎症により破壊された骨・セメント質などの歯周組織を再生させ、喪失した付着の回復をはかる治療法です。
◆ 症例1 ≫ リグロスを使った最新の歯周再生治療法
歯周基本治療だけでは歯周の改善が難しい場合には、歯周剥離掻爬術(フラップオペ)を行います。
本症例では、深い歯周ポケットの改善や失われた歯周組織の修復を目的として「リグロス」という歯周組織再生医薬品を使いました。
左図は、フラップを開けてスケーリング及びルートプレーニングをし、歯槽骨の骨内欠損部に付着した肉芽組織(病的な部分)を除去している所です。
中央写真は、調合された「リグロス」です。この薬剤は、歯槽骨、セメント質及び歯根膜の再生を促進し、結合組織性付着を形成させる効果が期待できます。
右写真は、それを失われた歯周組織の部分に注入しているところです。縫合して治癒を待ちます。
◆ 症例2 ≫ GTR法
GTR法は、 1 、2 度の根分岐部病変(主に下顎大臼歯)や垂直性骨欠損( 2、3 壁性骨欠損)などが適応症です。
▼Before
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矢印の歯の根の間には病巣を作り、骨が溶かされている。
根分岐部病変は、ファーケーションプローブ、レントゲンなどで精査します。根分岐部は、深く細く見えにくいため病変への到達が難しいとされています。そのため再発も多く、予後が不良な場合も多く見られます。
病変の進行を促進するエナメル突起や歯根面の陥凹などにも留意する必要があります。 -
歯周外科の治療中(フラップオペ GTR法)
GTR膜というメンブレンを置き、その内部で骨が再生するのを待ちます。
- ▼After
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歯周治療の術後経過です。
矢印の部分に骨様組織が出来たのに注目!
◆ 症例3 ≫ 歯肉移植術(結合組織移植術)
- ▼Before
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矢印部は歯肉のボリュームが不足しています。
その部分に上顎(うわあご)の口蓋部から歯肉(結合組織)を移植します。
- ▼After
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かぶせ物(オールセラミックス)を装着しました。
抜歯などにより歯槽骨のボリュームがなくなり、外観は歯肉がへこみ痩せて見えます。
そのままかぶせる処置をすると、欠損部の歯は、異常に長く大きくなります。
そこで、結合組織移植術 CTG という方法で手術をしました。
歯肉の移植には、結合組織移植術 CTG の他に、遊離歯肉移植術 FGG という方法もあります。
確実な付着歯肉の獲得を目的とします。歯根露出があり、付着歯肉幅が狭く口腔前庭が浅く、清掃が困難な部位に行います。
■ 歯肉退縮の原因 ■
付着歯肉の不足、小帯の高位付着、歯牙の位置異常、成人矯正、プラークによる炎症、不適切なブラッシングなどです。歯肉退縮の場合にも、歯肉移植が有効なことがあります。
咬合性外傷って何 ?
早期接触、強い側方圧、歯ぎしりなどの外傷を起こすような強い咬合が繰り返されると、歯周組織の炎症が増悪して
組織破壊が急速に進行します。症状として歯の動揺、垂直性骨吸収、骨縁下ポケットが形成されることがあります。
咬合性外傷は、そのような外傷性咬合(過度な咬合力や側方力などの異常な力)によって引き起こされる深部歯周組織(セメント質、歯根膜、歯槽骨)の傷害で、一次性と二次性に分類されます。
咬み合わせの調整、ナイトガード作成などを行い、重症化しないように歯周病予防が大切です。
1. 一次性咬合性外傷
歯に過度な咬合力が加わることによって歯周組織に外傷が生じたものです。
2. 二次性咬合性外傷
歯周炎の進行によって支持歯槽骨が減少して咬合負担能力が低下した歯に生じる外傷で、
生理的な咬合力によっても引き起こされます。
咬合性外傷を引き起こす咬合を外傷性咬合と呼び、その原因には、歯列不正、早期接触、咬頭干渉、歯ぎしり、過剰な咬合力、側方圧、舌と口唇の悪習癖、食片圧入などがあります。動揺度が 1 度以上あり、かつエックス線所見で辺縁部歯根膜腔の拡大・垂直性骨吸収が認められる歯については、咬合性外傷と診断します。
歯冠形態修正は、歯冠を削合して咬合力の負担量を軽減し、二次性咬合性外傷を改善する治療法です。
サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)
歯周炎は再発の危険性が高い疾病です。それは次のような理由からです。
1. 歯周病の主原因である細菌性プラークおよび外傷性因子は、口腔内に常に存在します。
2. 適切な歯周治療を行っても深い歯周ポケットや根分岐部病変が残存する場合もあります。
3. 全身的因子の影響を受けることもあります。
4. モチベーションの効果は時間とともに低下し、歯肉辺縁の位置や形態の変化など、口腔内の環境は時間の経過とともに変化します。
そこで、歯周基本治療、歯周外科治療を行い、
病状安定となった歯周組織を長期間維持するための治療(SPT supportive periodontal therapy、歯周病安定期治療)
および健康管理としてのメインテナンス治療が不可欠となります。
歯周病と全身疾病
最近、糖尿病と歯周病の密接な関係が注目を集めています。
糖尿病になると歯周病にかかりやすく、また、
歯周病の状態が悪いと血糖コントロールに悪影響を与えること分かってきました。
糖尿病により、免疫系機能障害や末梢血管循環障害などが起こり、創傷治癒遅延が引き起こされます。
歯周病菌が腫れた歯肉から容易に血管内に侵入して全身に回り悪さをするのです。
歯周病は、糖尿病の1)腎症、2)網膜症、3)神経障害、4)大血管障害、
5)小血管障害に次ぐ6番目の合併症と言われています。
また、骨粗鬆症になると歯茎の骨も影響を受け、結果、歯周病にも悪影響を与えます。
歯周病原因菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て、高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞を誘発することがあります。
薬物性歯肉増殖を起こす薬として、フェニトイン(抗てんかん薬・ヒダントイン系薬)、ニフェジピン(降圧薬・Ca 拮抗薬)、シクロスポリン(免疫抑制薬・カルシニューリン阻害薬)などが知られています。
さらに、たばこを吸う習慣があると、歯茎の血管は狭窄して血行が悪くなり、歯周組織の修復が悪くなったり、免疫細胞の応援が少なくなり炎症が波及しやすくなり、歯周病を悪化します。
このように糖尿病などの全身疾患や、喫煙習慣、遺伝的要因、ホルモン変化などが複雑に影響し歯周病が発症して進行することが分かってきました。
歯周病の予防、治療と共に全身疾病や喫煙についても注意する必要があります。
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